
X線とCTの違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、それぞれの特徴や仕組み、使用目的について詳しく解説します。とくに製品の品質管理や品質向上のためにX線検査装置の導入を検討している方にとって、有益な情報をお届けしますので、ぜひご参考ください。
X線の特徴と仕組み
X線とは、波長が約1~0.01nm程度の電磁波のことです。放射線の一種であり、X線の発見者であるヴィルヘルム・コンラート・レントゲン博士の名前にちなんで「レントゲン線」と呼ばれることもあります。病院で健康診断や骨折の疑いがある場合に撮影されるレントゲン写真は、X線を利用した撮影技法のひとつです。
X線の特徴
X線の最大の特徴は、内部構造の平面的な画像を撮影できることです。CT検査では対象物の立体的なデータを取得できますが、X線検査は一方向からのみX線を照射するため、平面的な画像となります。また、CT検査に比べて短時間かつ低コストで検査を行える点もメリットです。X線の仕組み
X線検査では、調べたい対象物にX線を照射し、その透過したX線の強度を測定することで内部構造を可視化します。X線は物体を通過しますが、その透過度は物質の種類や密度によって異なるため、透過率を測ることで内部の様子を画像化できます。CT検査の特徴と仕組み
CT検査とは、X線を用いた撮影方法のひとつです。レントゲンと同様にX線を照射しますが、レントゲンが一方向からの照射であるのに対し、CT検査では360度全方位からX線を照射する点が大きく異なります。たとえば歯科治療で顔を撮影する場合、レントゲンでは顎骨や歯列の状態を確認できますが、CTでは人体を輪切りにしたような断面写真が得られ、顎関節の形態まで詳細にチェック可能です。
CT検査の特徴
CT検査の最大の特徴は、多方向からX線を照射することで、レントゲンとは異なり立体的に内部構造を調べられる点です。対象物を細かく輪切りにしたような断面画像を撮影でき、X線検査よりも詳細な内部構造の把握が可能ですが、その分検査にかかる時間は長くなります。CT検査の仕組み
CT検査(CTスキャン)では、まず360度全方向からX線を照射して透過像をデータとして取得します。取得したデータをコンピューターで処理することで、対象物の三次元情報を再構築できます。X線を使う基本的な仕組みはレントゲン撮影と同じですが、CT検査はより多くの方向からX線を照射するため、対象物の内部構造を立体的に把握することが可能です。レントゲン写真より詳細に内部を確認したい場合に適しています。
X線・CT線それぞれの使用目的
X線やCT検査は、病院で体内の様子を調べるために使われるイメージが強いですが、実は医療以外の分野でも幅広く活用されています。ここでは、X線とCT検査の主な使用目的について詳しく紹介します。工業、食品、衣料品などさまざまな分野で役立つ情報ですので、ぜひご参考ください。非破壊検査
非破壊検査とは、対象物を壊すことなく内部の状態を調べる検査方法です。X線やCTは物体を透過する性質があるため、内部を破壊せずに調査が可能です。このため、歴史的価値の高い文化財の調査や製品試作時の不具合発見などに幅広く利用されています。例えば、鋳造物の内部に空洞がないかを確認する際にも最適です。
品質管理
CT検査やX線は品質管理でもよく使われています。製品の内部構造を破壊せずに画像化できるため、欠陥や不均一性を簡単に確認可能です。従来の破壊検査と比べて、短時間かつ低コストで検査が行えるため、多くの業界で採用されています。対象物の3Dデータ化
X線やCTを使えば、複雑な形状の物体も瞬時にスキャンして3Dデータ化できます。高精度な3Dデータを短時間で作成できるため、ゼロからモデリングするよりも大幅に時間を節約できます。3Dデータ化の具体例としては、実物をもとにしたフィギュア作成や骨格模型、生物の3Dデータ作成などがあります。