
会社名 | 株式会社 日立ハイテク |
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住所 | 東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー |
日立ハイテクは、世界最大級の高エネルギーX線を活用した産業用CTシステムを開発し、これまで難しかった大型・高密度部品の非破壊検査を可能にしました。独自のHiBrid撮像技術により、高出力と高分解能の両立を実現しています。この記事では、日立ハイテクのCTシステムの特徴と具体的な活用方法について紹介します。
機能性の高い産業用X線CTシステムを開発
日立ハイテクは、世界最大級の高エネルギーX線CTシステムを開発し、産業界の非破壊検査の在り方を変えています。大型・高密度の検体も対象にできる技術は、品質管理や研究開発において評価が高いです。ここでは、同社のシステムがもつ革新的な撮像技術と多彩な応用例について紹介します。大型検体も一括撮像可能な高エネルギーX線技術
高密度で大型の検体を分割せずに丸ごと可視化できる点が、日立ハイテクのCT装置の大きな特徴です。最大9MVという世界最高レベルのX線出力を用い、最大1トンまでの試料にも対応可能。エンジン、車載電池、文化財まで、対象を選ばず立体構造を高精細に再現します。しかもHiBrid方式により、高出力と空間分解能の両立も実現できます。
従来は難しかった欠陥の早期検出や精密形状の計測が、ワンストップで可能となりました。とくに密度差に基づく部品の識別や分離にも優れ、複合材解析にも力を発揮しています。
空間分解能を高める独自技術「HiBrid方式」の強み
X線CT装置における分解能の高さは、内部構造の精度を左右します。日立ハイテクは課題に対し、ダブル回転による独自のHiBrid方式を導入。従来比で約1.5倍の分解能向上を実現しました。従来見逃されがちだった微小なクラックや層間剥離、リーク箇所まで明確に視認できるようになり、欠陥解析の精度が飛躍的に向上しています。
また、複合材の部品分離や密度ごとの色分けも容易になり、リバースエンジニアリングやCAEとの連携にも活用が可能です。分解能と透過力を両立させた方式は、精密さを要求される製造現場や開発現場にとって、信頼できる観察ツールとなっています。
CTシステムの活用事例を一部紹介
日立ハイテクのCTシステムは、幅広い業界で採用され、製品の品質向上や技術開発を支えています。とくに自動車やエネルギー関連の大手企業による事例は、信頼性の高さを物語っています。自動車・航空分野での欠陥検出と性能評価に活用
大型部品を使用する自動車・航空業界では、非破壊による内部観察が極めて重要です。たとえば燃料電池車用の水素タンクでは、落下試験後の内部剥離の可視化を成功させました。さらに、エンジンシリンダーヘッドのCT撮像では、リーク箇所の明確な特定が行われ、再発防止に役立てられました。事例からもわかるように、日立ハイテクの高エネルギーX線CTは、高密度材料を含む複雑構造体の検査において欠かせない存在です。CADデータとの形状比較やCAE解析とも連携し、設計から生産、品質保証まで、幅広い工程で活用されています。
リバースエンジニアリングや文化財分析にも対応
日立のCTシステムは、ものづくりの現場にとどまらず、文化財の保存・分析など非製造分野でも注目されています。内部構造を損なうことなく立体的に観察できるため、文化財研究所ではCTによる調査が進んでいます。また、工業用途ではCTスキャンからポリゴン・ソリッドモデルを生成し、CADデータと比較可能な計測が実現。リバースエンジニアリングによる製品再設計や、CAEを用いた解析精度の向上も可能となっています。
受託検査サービスの利用も可能
自社に装置を導入しなくても、日立ハイテクの高性能X線CT技術を活用できます。専門エンジニアによるワンストップの受託検査サービスを通じて、短期間で高品質な画像データや解析結果を取得できます。用途に応じた柔軟な撮像プランが用意されており、試作・開発・研究用途にも最適です。国内最大級の撮像環境で1t超の検体にも対応
日立ハイテクの受託検査センターは、直径1400mm・最大重量1トンの大型検体にも対応可能な国内屈指の設備を備えています。高エネルギーX線と広い撮像視野を活かし、エンジン、車載電池、重機部品などを丸ごと非破壊でスキャン。これにより、分割せずに一体構造として内部観察や密度解析が可能となります。また、落下試験後の損傷確認や鋳造品の欠陥検査にも活用されており、設計から評価、品質保証まで多様なニーズに対応。CT装置の導入が難しい企業にとっても、迅速で高品質な検査サービスを外部委託という形で利用できる点が大きな魅力です。
撮像から解析・モデリングまでを一括サポート
単なる画像取得にとどまらず、日立ハイテクの受託検査は高度な解析サービスまで含めたトータル支援が特徴です。検体の搬入後、目的に応じた撮像仕様をエンジニアが提案し、必要に応じて立ち会い撮像も可能。取得したデータは、CT断層像だけではなく3D画像、CAD比較、ポリゴン・ソリッドモデル化など様々な形で提供され、リバースエンジニアリングやCAEとの連携にも役立ちます。
画像解析や形状計測もオプションで対応しており、試作品の評価や不具合原因の特定など、製品開発の初期段階から完成後の品質確認まで幅広くサポート。自社リソースでは難しい高精度分析を、外部委託で効率的に実現できます。