X線検査装置は安全?放射線の影響はある?

公開日:2025/05/20
安全性

X線検査装置が発する放射線は人体に悪影響を及ぼすとされ、検査時の被ばくに不安を感じる方も多いでしょう。確かにX線は放射線の一種ですが、医療機関での検査では、そのリスクは管理され、健康上の問題はほとんど生じません。今回はX線検査装置の安全性や放射線の影響を解説します。影響や安全だといえる理由について解説します。

放射線が及ぼす人体への影響

放射線は目に見えませんが、人体にさまざまな作用をもたらします。電離作用によって細胞内の分子を変化させ、DNAに損傷を与えることがおもな仕組みです。その影響は、確定的影響と確率的影響の二つに分類されます。

確定的影響とは、一定量を超えると必ず発生する影響のことです。たとえば、皮膚が赤くなる紅斑は500〜2,000ミリシーベルト、脱毛は約3,000ミリシーベルト以上、一時的な不妊症状については男性で150ミリシーベルト、女性で650ミリシーベルト程度の被曝で起こります。

永久不妊については、男性が3,500ミリシーベルト以上、女性が2,500ミリシーベルト以上の被ばくで発生すると考えられています。福島第一原発事故の緊急作業従事者には250ミリシーベルトという限度が設けられましたが、これは確定的影響を避けるための基準でした。

一方、被曝量に応じて発生確率が変化する確率的影響も存在します。代表例はがんや白血病です。広島・長崎の原爆被害者の追跡調査から、100ミリシーベルト以上の被曝でがん発症率が有意に上昇することが判明しています。

たとえば、100ミリシーベルトの被曝により、生涯のがん死亡リスクが約0.5%増加するとされています。日常生活でも私たちは自然放射線に常に触れています。日本人は年間平均2.1ミリシーベルト程度の自然放射線を受けています。

地域によって差があり、高自然放射線地域として知られるブラジルのガラパリでは、年間10ミリシーベルト以上になる場所もあります。医療現場では診断や治療に放射線が活用されています。

胸部X線撮影で0.05ミリシーベルト、胸部CT検査で約7ミリシーベルトの被曝がありますが、これらは医療上の利益が危険性を上回ると判断されています。がん治療では数十グレイ(吸収線量単位)という高線量を患部に集中させますが、正常組織への影響を最小限に抑える工夫がなされています。

急性被曝の場合、1,000ミリシーベルト以上で吐き気や嘔吐などの急性症状が現れ、7,000〜1万ミリシーベルトでは死亡するケースもあります。

保護対策として、時間、距離、遮蔽の三原則が重要です。被曝時間を短く、放射線源からの距離を取り、適切な遮蔽物を使用することで被曝を低減できます。放射線の健康影響は被曝量や条件によって大きく異なるため、適切な知識と対策が重要です。

X線による被ばくの危険性とは

現代医療において、X線検査は病気の診断や治療方針の決定に欠かせない存在となっています。レントゲン写真やCT検査などで用いられるX線は、肺炎や骨折の発見、がんの早期発見など、多くの命を救う重要な役割を果たしています。

たとえば、胸部X線撮影によって初期段階の肺がんが発見され、早期治療につながったケースは数多く報告されています。また、交通事故後の内部損傷を迅速に確認できるため、緊急医療の現場でも欠かせないツールとなっています。

このようにX線技術は医療の進歩に大きく貢献していますが、その一方で放射線被ばくによる健康影響が懸念されることもあります。X線は人体を透過する性質を持ち、体内の状態を画像化できる優れた特性がありますが、同時に細胞のDNAに影響を与える可能性があります。

医療現場での一般的な胸部X線撮影では、被ばく量は0.1ミリシーベルト程度です。これは私たちが日常生活で1か月間に浴びる自然放射線量とほぼ同等レベルだと考えられています。

東京から米国へ飛行機で往復すると受ける宇宙線による被ばく量が約0.2ミリシーベルトであることと比較すると、通常のレントゲン検査の影響はごくわずかであることが理解できます。

放射線の健康影響には、大量被ばくによる確定的な影響と、低線量でも確率的に発生する可能性がある影響の二種類があります。医療検査でおもに問題となるのは後者です。特に配慮が必要なのは、放射線感受性が高い妊婦や小児への検査です。

医療機関では妊娠の可能性がある女性に対して事前確認を行うなどの慎重な対応をしています。また、小児への検査では線量を成人よりも低く設定するなど、年齢に応じた適切な対策が講じられています。

さらに、最新の医療機器では被ばく量を減らす技術が進歩しており、以前と比べて同じ画質でも被ばく量が大幅に削減されています。X線検査のリスクとメリットを考慮すると、適切な医学的判断のもとで行われる検査は、そのリスクを大きく上回る利益があります。

胃がんや大腸がんの早期発見のためのX線検査が生存率向上に貢献している事実や、心筋梗塞の診断に不可欠な冠動脈CT検査が適切な治療につながっている例は数多くあるからです。

結論として、医療目的のX線検査による被ばくは、得られる診断情報の価値と比較して、そのリスクは非常に小さいといえます。不必要な検査は避けるべきですが、必要な検査を恐れて受けないことのほうがはるかに大きなリスクを伴うことを理解し、医師の指示に従って適切に検査を受けることが健康維持には重要です。

まとめ

X線検査装置から発せられる放射線には人体への影響が懸念されますが、医療現場では適切に管理されており、健康上の問題はほとんど生じません。放射線の影響には確定的影響と確率的影響があり、医療検査で受ける線量は極めて低いレベルです。最新の医療機器では被ばく量を減らす技術も進歩しています。医療目的のX線検査は、早期がん発見や適切な治療に不可欠であり、そのメリットはリスクを大きく上回ります。必要な検査を恐れて受けないことのほうが、健康維持においてはより大きなリスクとなるのです。

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