X線検査装置は、製品や部品の内部を非破壊で可視化できる機器として、製造業や電子機器産業、医療分野などで活用されています。X線検査装置は非常に高価なので、装置の導入コストを抑えるにはレンタルがおすすめです。この記事では、X線検査装置のレンタルに対応した、技術力・実績・サポート体制にすぐれるメーカー6社を紹介します。
CONTENTS
レンタル可能なX線検査装置メーカーおすすめ6選
X線検査装置は、製品や部品の内部を非破壊で確認できることから、製造業や研究開発、品質管理など幅広い分野で利用されています。ここでは、X線検査装置をレンタル可能なメーカーの中でも、サポートや実績、技術力の面でおすすめできる6社を紹介します。アイビット

引用元:https://www.i-bit.co.jp/
| 会社名 | 株式会社アイビット |
|---|---|
| 住所 | 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 かながわサイエンスパーク(KSP)東棟6F |
| 電話番号 | 044-829-0067 |
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アイビットでレンタルできるX線検査装置
アイビットのFX-300は、1か月単位でをレンタルできます。FX-300は高精細5μmマイクロフォーカスX線管を搭載し、最大160倍のシステム倍率と多彩な画像処理機能により高精度な内部観察が可能な検査装置です。1か月100万円(税別)で輸送費、設置費が別途かかります。コンパクトなマイクロフォーカスX線観察装置で、設置時に現地で操作トレーニングを行います。
アイビットの検査画像一覧
- BGAのクラック観察
引用元URL:https://www.i-bit.co.jp/ - LGAの接合不良
引用元URL:https://www.i-bit.co.jp/ - 実装基板のスルーホールX線観察
引用元URL:https://www.i-bit.co.jp/
アイビットの製品
引用元:https://www.i-bit.co.jp/FX-300寸法 1000(w)×880(d)×1350(h)mm 料金 1,000,000円(税別)※1か月レンタル料金 検査項目 ■BGA
■LGA
■基板内部
■スルーホールのはんだあかり
■ICのワイヤー検査
アイビットが独自に開発した「X線ステレオ方式」および「X線ステレオCT方式」により、はんだ接合部が直視できない部品や両面実装基板など、従来では検査がむずかしかった対象にも対応でき、不良の見逃しを最小限に抑えられます。
さらに、透過型ターゲット方式を採用したX線管の構造により、幾何学倍率1,000倍という高精細な検査を実現。これまでは高価だった開放型X線管が必要だった高倍率撮影を、よりコストパフォーマンスにすぐれた密閉型X線管で可能にした点も、アイビットの技術力を象徴しています。
また、アイビットは、導入後のサポートも充実しており、年次点検時には最新のソフトウェアにバージョンアップされるのも魅力のひとつです。アイビットの強みは、装置の性能だけではなく、使用環境や目的に応じた最適なモデルを幅広く用意している点にあります。
短期間だけ高精度な検査装置が必要な場合や、導入前に実機での性能を確認したいというケースに最適な、レンタルでの柔軟な対応も可能です。
島津製作所

引用元:https://www.an.shimadzu.co.jp/products/non-destructive-testing/index.html
| 会社名 | 株式会社 島津製作所 |
|---|---|
| 住所 | 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 |
| 電話番号 | 075-823-1111 |
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島津製作所でレンタルできるX線検査装置
島津製作所のX線検査装置「SMX-1000PLUS」は、月126万5千円(税別)でレンタル可能です。SMX-1000PLUSは高出力マイクロフォーカスX線とフラットパネル検出器を搭載しています。また、最大161倍表示と60度傾斜観察に対応した高精度のX線検査装置です。2か月以上のレンタルも可能となっています。
島津製作所の検査画像一覧
- Xslicer SMX-1020の検査画像
引用元URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/ - Xslicer SMX-1020の検査画像
引用元URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/ - Xslicer SMX-6010の検査画像
引用元URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/
島津製作所の製品
引用元:https://axel.as-1.co.jp/SMX-1000PLUS寸法 995(W)×990(D)×1285(H)mm 料金 1,265,000円(税別)※1か月レンタル料金 積載可能重量 最大5kg
代表的な装置である「Xslicer SMX-1010/1020」は、90kVマイクロフォーカスX線と高解像度フラットパネル検出器を組み合わせたモデルです。従来機に比べて画質と操作性が飛躍的に向上し、検査ステージや検出器の処理速度も大幅にアップ。
検査時間の短縮と作業効率の向上が実現されています。また、SMX-1020には、300万画素の高解像度検出器が搭載されており、広視野と高精細画像を両立しました。
また、独自の画像処理技術「HDR」により、材質や厚みに違いがある対象物でも、一度の撮影で最適なコントラストの画像が得られます。これにより、ボイドやクラックといった微細な欠陥も見逃さずに検出可能です。
「Xslicer SMX-6010」は、300万画素の検出器を搭載した縦照射型の装置で、より高精度かつ広ダイナミックレンジの透視画像が得られるモデルです。多層基板や小型電子部品など、観察がむずかしいワークでも鮮明な画像を提供できます。
さらに、透視からCTへの切り替えもスムーズで、多様な検査ニーズに対応可能です。CT機能は、斜めCTと直交CTの2方式があり、対象物の形状や検査目的に応じた柔軟な撮影が可能です。
とくに直交CTは、縦断面画像の鮮明さにすぐれているので、精度の高い内部構造の把握が求められる場面で役立つでしょう。
松定プレシジョン

引用元:https://www.matsusada.co.jp/product/x-ray/
| 会社名 | 松定プレシジョン株式会社 |
|---|---|
| 住所 | 滋賀県草津市青地町745 |
| 電話番号 | 0120-747-636 |
| MAP |
松定プレシジョンでレンタルできるX線検査装置
松定プレシジョンでは、X線機器のデモストレーションを様々な方法で提供しています。オンラインデモ、来場デモ、サンプル測定、有償レンタルで製品を試すことが可能ですが、有償レンタルの場合は一部製品のみ対応しているため問い合わせる必要があります。松定プレシジョンの検査画像一覧
- プローブピン
引用元URL:https://www.matsusada.co.jp/ - ワイヤーボンディング
引用元URL:https://www.matsusada.co.jp/ - IGBTボイド
引用元URL:https://www.matsusada.co.jp/
さらに、独自の高電圧電源技術を活用した、マイクロフォーカスX線管を開発するなど、コンパクトながら高性能な装置を実現しています。ここで、松定プレシジョンの製品の一例として「卓上型X線透過検査装置」を挙げてみましょう。
この装置は、省スペースで設置可能な小型モデルながら、対象物の内部を非破壊で観察できるすぐれた性能をもっています。低価格帯のミニフォーカスX線管搭載モデルから、より高解像度な観察が可能なマイクロフォーカスX線管を採用したハイグレードタイプまで、利用シーンに応じた選択肢が豊富です。
電子部品などの小型ワークを対象とした短期的な検査用途にもおすすめです。また、より大きなワークに対応する「X線透過検査装置(縦照射型)」では、汎用性と観察性能の両立が図られており、大型プリント基板や複雑な構造をもつ部品でも、非破壊で詳細に確認可能です。
電動ステージや傾動・回転ステージを備えたモデルもあり、検査対象をあらゆる角度から観察できるため、見落としのリスクを最小限に抑えられます。さらに、検査方法によっては「X線CTスキャン装置(横照射型)」が適している場合もあります。
産業用マイクロCTとして、X線顕微鏡レベルの観察を可能にするこの装置は、半導体やバッテリー、電子基板の微細構造を立体的に観察しやすいモデルです。マイクロフォーカスX線技術により、樹脂成形品や鋳造品、金属部品など幅広い材料に対応。
CTソフトウェアと組み合わせれば、従来のX線撮影では得られない三次元情報も、手軽に可視化できます。加えて、製造ラインに組み込んで全数検査したいニーズに応えるのが「X線インライン自動検査装置」です。
既存のラインに後付けでき、対象物に応じて搬送構造を柔軟にカスタマイズ可能です。AIを活用した画像処理アルゴリズムと自動検出機能により、人手不足の解消や検査品質の安定化にも寄与していて、とくに自動車業界から高く評価されています。
オリックス・レンテック

引用元:https://www.orixrentec.jp/index.html
| 会社名 | オリックス・レンテック株式会社 |
|---|---|
| 住所 | 東京都品川区北品川5丁目5番15号 大崎ブライトコア |
| 電話番号 | 0120-97-4824 |
| MAP |
申し込みと審査の流れ
最初はお問い合わせフォームまたは電話で相談します。機種の選定や台数、利用期間、料金、在庫状況まで具体的に相談でき、利用目的に合わせた提案を受けられます。サービス対象は法人です。初回取引では審査があり、結果次第で希望どおりにならない場合があります。初めての担当者でも進めやすいよう、案内が段階ごとに整理されている点が特徴です。問い合わせの段階で要件が固まっていなくても、用途や検査対象を伝えることで候補機の絞り込みが進みます。とくにX線検査装置は機能やサイズのバリエーションが多く、過不足のない機種を選ぶことが重要です。早い段階で台数や使用開始日、返却予定を仮置きして共有しておくと、在庫確認がスムーズになります。
配送とレンタル開始時の確認
午前中の申し込みで主要都市には翌日中、それ以外の地域でも48時間以内を目安に届きます(離島など一部地域や製品により異なります)。全国どこでもスピーディに届ける点が強みで、急ぎの立ち上げにも対応しやすいです。運用費用やその他の費用は別途かかる場合があります。レンタルは「機器納入日が開始日、返却の前日が終了日」という扱いです。到着時はまず動作確認を行い、アクセサリーボックスの裏蓋面などに記載された明細で付属品の有無を確認します。納品時の通函・梱包材は返却時に必要になるため、開梱の際に破損や紛失がないよう保管します。
長期間契約では依頼により梱包材の引き取りも可能ですが、運送諸費用が発生するケースがあります。現場に搬入する前に、設置スペースや電源、周辺導線、遮蔽や安全掲示などの環境条件を再点検しておくと、当日の設置と立ち上げがスムーズです。
初期不良や輸送時の不具合が疑われる場合は、自己判断で分解せず、すぐに連絡して指示を仰ぎます。検査対象や運用手順が複数部門にまたがる場合は、受け入れ時点で操作担当と保守担当の連絡体制も共有しておくと安心です。
支払い・期間中サポート・返却と企業姿勢
運送費用やキッティング費用などが発生する場合は、初回レンタル料に合わせて請求されます。レンタル期間中に故障や破損が起きた際は連絡すれば、代替品発送などのスピーディな対処を受けられます。検査データは利用者側で必ずバックアップを取り、機器返却前にはデータ消去を徹底します。途中解約の際は、判明時点で早めに連絡して調整します。返却時は付属品の明細を再確認し、納品時の通函・梱包材に収めます。代行運送会社が引き取りに来るため、引き渡し時間や場所の調整を事前に済ませておくと受け渡しが滑らかです。返却後に不足品が見つかった場合は実費請求となるので、アクセサリー類の管理リストを社内で持ち回り管理すると紛失リスクを抑えられます。
サンモニター

引用元:https://www.sunmonitor.co.jp/x-ray
| 会社名 | 株式会社サンモニター |
|---|---|
| 住所 | 東京都板橋区西台4-7-2 |
| 電話番号 | 03-3931-0521 |
| MAP |
多様な用途に対応するラインアップ
サンモニターでは用途ごとに異なる検査装置を提供しています。食品や加工品、化粧品など袋や箱単位で異物混入を確認する「異物検出用X線検査機」には、デュアル検出機能を持つX-Ray4015DWや、AI搭載で高感度なX-Ray3720Sがあります。アパレル製品や雑貨、カーテン、じゅうたんなどを対象にした「検針・検査用X線検査機」もあり、物流や輸出入の現場での検品にも活用されています。さらに空港や施設でのセキュリティ検査には「セキュリティー用X線検査機」が導入され、手荷物から凶器や薬物、爆発物を検出することができます。代表機種のX-Ray6040HS-160は高解像度と高画質を兼ね備えた中型機で、安全管理の現場で信頼される製品です。このように、食品衛生から物流の安全性、施設のセキュリティまで一貫してサポートできる点がサンモニターの強みです。
レンタルが選ばれる理由と導入のメリット
購入する場合は高額な投資が必要になるX線検査装置ですが、サンモニターのレンタルサービスを利用すれば、必要な時に必要な期間だけ導入できます。小型から大型まで豊富にそろった機種から選べるため、現場の規模や用途に合わせやすいです。最短で翌日レンタルが可能な点も大きな魅力で、急な検査依頼や予期せぬトラブルにも柔軟に対応できます。また、初めて検査機を利用する場合でも、スタッフが設定を代行し、操作方法の説明も行ってくれるため安心です。検査対象や作業環境に応じたアドバイスを受けられる点もメリットです。
さらに、購入時に必要な初期費用やランニングコストを抑えられるので、短期利用やスポット的な需要に適しています。装置を所有する負担を減らしながら、必要なときだけ導入できる仕組みは効率的で、導入のハードルを下げています。
サンプルテストと導入までの流れ
導入前には製品と異物を用いたサンプルテストを行い、検出の可否や最適な機種を確認します。テストは来社による持込み(即日対応も可能、所要約2時間)と、製品を送付する方法(翌営業日までに結果報告)があり、状況に応じて選べます。とくにコンベア式の装置はテストが必須となります。レンタル導入では「お問い合わせ→内容確認→サンプルテスト→見積もり→注文→搬入・設置→撤去」の流れで進み、販売の場合は労働基準監督署への届出が追加されます。さらに緊急時には最短3時間以内での持込み検査にも対応しており、迅速な利用開始が可能です。
近畿レントゲン工業社

引用元:https://x-raykinki.co.jp/
| 会社名 | 株式会社 近畿レントゲン工業社 |
|---|---|
| 住所 | 京都府京都市上京区室町頭町 |
| 電話番号 | 075-441-3234 |
| MAP |
「krix」の特徴と利用のしやすさ
krixは税別月額6万8,000円から利用できる、従量課金型のレンタルサブスクサービスです。最低利用期間は3年間で、利用しなくなった場合は解約も可能です。免許や資格が不要な点も導入のハードルを下げています。X線装置を購入するのではなく画像を得ることを目的としたサービス設計で、利用者が本当に必要とする成果に焦点を当てています。導入前に試したい場合には、同社の「X線受託撮影サービス」を利用でき、サンプルを送って撮影結果を確認することも可能です。
料金プランと装置のラインアップ
料金は撮影枚数に応じて変動する従量課金プランと、枚数無制限の使い放題プランから選べます。プランは1年ごとに変更でき、初年度は従量課金、使用頻度が増えた2年目以降に使い放題に切り替えるといった柔軟な運用も可能です。一般的なリースと違い、メンテナンス費用も含まれているため予算管理がしやすいのも魅力です。装置にはサンプル幅40cmまで撮影でき、手荷物検査装置のように大量のサンプルを連続処理できる「ITX-S40T」や、生体標本の検査にも使える高精細な「AB-35(予定)」などがあり、幅広い用途に対応しています。
導入の流れとサービスの安心感
導入は「相談→打ち合わせ→デモ撮影→契約・納品」という流れです。まずは問い合わせで概要を伝え、担当者が訪問や打ち合わせで詳細を確認します。必要に応じてサンプルを送付し、事前にデモ撮影を実施することも可能で、立ち会いながら検査結果を確認することもできます。その後、契約を締結し装置が納品されます。サービスの対象エリアは首都圏・中部・近畿圏など指定地域で、インターネットの常時接続環境が必要です。レンタル品は新品に限らずリファービッシュ品の場合もありますが、メンテナンス込みの契約内容により安定した利用が可能です。支払いは口座振替で行い、契約は3年単位で自動更新されます。利用者は装置を所有する負担を負わず、必要な時に高品質なX線検査を実施できます。
X線検査装置をレンタルする時のポイント
X線検査装置をレンタルする際には、利用目的に合った装置選びやサポート体制・法規制対応など、多角的なチェックが欠かせません。とくに、検査対象と目的に合った装置の見極めやメーカーの性能・信頼性の比較、そして使用開始から撤去までの流れを明確にすることにより、トラブルなく導入を進められます。ここでは、X線検査装置をレンタルするときのポイントを4つ解説します。
装置選定と目的の明確化
まずは検査対象と目的を明確にしましょう。X線検査装置は金属だけでなく、ガラス・石・骨などの硬質非金属も検出可能です。自社の検査対象が金属異物に限られるのか、幅広い異物を対象とするのかによって必要な装置は変わります。また、メーカーごとに装置の特徴が異なる点も押さえておくべきです。たとえば、高画質や高機能性に強みを持つメーカーもあれば、コンパクトさや操作性を重視した製品を展開するメーカーもあります。
島津製作所、アイビット、松定プレシジョンなど、各社の技術力やラインアップを比較し、利用環境に合った性能を選定することが大切です。
サンプルテストの実施
レンタルを検討する際には、契約前の確認が不可欠です。とくに有効なのが「サンプルテスト」です。実際に自社製品を持ち込み、異物が確実に検出できるかを事前に確認することで、導入後の失敗リスクを避けられます。さらに、X線装置の使用には労働基準監督署への届出が必要となるケースがあります。レンタル業者が書類フォーマットを提供してくれることも多いですが、必ず事前に確認しておきましょう。
また、検査開始時に専門スタッフが立ち会い、設置や初期操作をサポートしてくれるかどうかも、安心して運用を始めるうえで重要です。事前にスタッフが立ち会うことで、安心して検査を開始できるでしょう。
サポート体制と費用の確認
レンタル契約においては、装置の性能だけでなく、業者のサポート体制が大きな判断基準となります。具体的には、搬入から設置、そして使用後の撤去・搬出までを安全かつ迅速に行ってくれるかどうか確認しておきましょう。アフターサポート体制が充実しているレンタル業者であれば、安心して任せられます。現場での設置や撤去に不備があると、検査工程や生産ラインに影響が及ぶ可能性があります。
また、費用の内訳にも注意が必要です。レンタル基本料金に加えて、輸送費・設置費・トレーニング費用が別途発生するケースがあります。見積もり段階で総額を明確にしておくことで、予算超過を防げます。
安全管理の徹底
最後に、放射線安全への配慮は欠かせません。X線は距離の二乗に反比例して減弱するため、作業者が被ばくリスクを負わないよう、装置周囲の遮蔽や立ち入り制限を徹底する必要があります。安全教育や保護具の準備も含めて、業者と協力しながら体制を整えておくと安心です。
X線検査装置の購入とレンタルの違い
X線検査装置を導入する際には、購入とレンタルのどちらを選ぶかによって費用や管理の仕方が大きく異なります。ここでは、初期費用・ランニングコスト・保守費用・動産保険・契約期間の5つの観点から大きな違いを整理します。初期費用
購入の場合、新品か中古かにもよりますが、数百万円から数千万円規模の初期投資が必要です。とくにCT機能や高出力モデルなどの高性能機は価格が跳ね上がり、資金繰りに大きな影響を与えます。借入で資金調達する場合でも、返済を見据えてある程度のまとまった自己資金が欠かせません。また、中古のX線検査装置であれば多少費用を抑えられますが、機器をそろえるには数百万円以上の資金が必要となります。購入したいタイミングで在庫があるとも限らないため、結局は新品のものと組み合わせるケースがほとんどです。
一方、レンタルは初期費用を大幅に抑えられます。契約開始時に必要となるのは、月額利用料や搬入設置費用程度です。初期費用が100万円を超えることはほとんどありません。費用負担を軽減しながら試験的に導入したい場合には、レンタルが有効です。
ランニングコスト
購入する場合、減価償却や定期点検、消耗品交換、電気代などを含めた維持費が発生します。使用頻度が高い企業にとっては、長期的にみると購入のほうが割安になることもあります。レンタルだと、月額料金に多くの費用が含まれており、利用し続ける限り毎月の支出が発生します。短期間の利用であれば効率的ですが、数年以上長期運用する場合には、トータルコストが購入を上回ることもあります。保守費用
購入した場合、メーカーの保守契約や点検サービスを別途依頼しなければなりません。その費用は、年間数十万円から百万円規模になることもあります。故障や部品交換時の費用も基本的には購入者が負担します。レンタルでは、契約内容に保守や修理対応が含まれていることが多く、万が一の故障時にも代替機を提供してもらえるケースがあります。装置を止められない生産現場などでは、サポート込みのレンタル契約が安心につながります。
動産保険
購入するとX線検査装置が自社資産となるため、火災や盗難、自然災害に備えて動産保険に加入する必要があります。契約内容によっては、高額な保険料がかかります。一方、レンタルの場合は、業者側が保険を付与しているケースが多く、利用者は個別で加入する必要がありません。ただし、免責金額や補償範囲は契約によって異なるため、事前に確認することをおすすめします。
契約期間
購入は基本的に制限がありません。導入後は自由に使い続けられます。その一方で、技術の陳腐化リスクや買い替えコストをすべて自社で負担する必要があります。とくにX線検査装置は、次々と新しい機種が開発されており、いずれは機種を乗り換えなければならない時期に差し掛かります。新しい機器を購入するには手間と費用がかかります。
レンタルであれば、数年単位で契約を結ぶことになります。基本的には3~7年ほどのレンタル期間が設けられており、レンタル業者によって異なります。
機器の所有権はレンタル業者にあるため、契約期間満了後は再レンタル・返還・買取のいずれかの方法を選ぶことになります。新しい機種を選んで借りることができるため、常に最新の機種を導入しやすいという点も大きな魅力です。
短期的な検証や一時的な増産対応であれば、レンタルが適しています。使用期間を踏まえて、購入とレンタルのどちらを選ぶか検討するといいでしょう。
X線検査装置をレンタルするメリットとは
X線検査装置は、高性能な装置ほど価格も高く、一度導入してから思ったように使えなかったり、機能が足りなかったりすると、大きな損失につながってしまいます。こうしたリスクを回避するには、レンタルでの導入がおすすめです。ここでは、X線検査装置をレンタルするメリットについて解説します。運用効率の向上
レンタルであれば、必要な期間だけ使用し、その分の料金を支払うだけで済むため、性能や使い勝手を実際に使用して確認したい際に便利です。導入予定のモデルと同じ型番をレンタルして試すことで、スペックや機能が適しているかを事前に確認できます。実際に運用してみなければわからない不具合や相性の問題を、購入前に洗い出せるので安心です。また、レンタルは保守・管理の面でもメリットがあります。自社で装置を所有している場合、定期的なメンテナンスや故障対応、部品交換などにかかるコストと手間は軽視できません。
レンタル契約であれば、こうした保守サービスがあらかじめ含まれていることも多く、突発的な修理費用などのリスクも抑えられます。さらに、部品の在庫管理といった業務負担が軽減される点も、現場にとって大きなメリットです。
コスト削減・節税効果
X線検査装置をレンタルで導入することで、節税効果が生まれるのが大きなメリットです。X線検査装置のレンタル費用は、会計上の経費として処理できるため、全額を損金計上できます。これにより、課税所得を削減できるため、節税につながります。これに対して、X線検査装置を購入した場合は、一定金額以上であれば「固定資産」として扱われ、耐用年数に応じた減価償却が必要です。
たとえば、10万円を超えるネットワーク機器や検査装置を購入した場合、それらは通常10年の耐用年数にもとづいて徐々に経費化されるため、短期間での費用計上はできません。
さらに、こうした固定資産の管理には、台帳記入や棚卸し、償却計算など、事務処理上の手間も発生します。レンタルでの導入は、コスト削減・節税効果の面で大きなメリットが生まれる選択です。
短期運用に便利
X線検査装置の導入を検討する際、多くの企業や現場で悩むのが、導入による費用対効果です。とくに、教育や研修、イベントなど、一定期間のみ使用するケースでは、高額な装置を購入することに対するリスクが非常に大きくなります。こうした状況下で有効な手段となるのがレンタルです。社員研修や技術講習、業界イベントなどの現場で、短期間に複数台のX線検査装置が必要になった場合、新品をそろえるとなれば莫大なコストがかかるうえ、その後の機器保管や運用に頭を悩ませることにもなりかねません。
こうした一時的な運用では、購入よりもレンタルの方が合理的です。また、研修や教育の現場では、すべての装置の設定を統一しなければならず、つねに最新のモデルを使用したいはずです。
レンタルであれば、同一機種を必要な台数だけ用意できるうえ、最新の装置を選ぶことも可能なため、こうしたニーズにも柔軟に対応できます。さらに、レンタルの場合は使用後の処分に悩む必要がありません。
購入した機器は不要になってもかんたんに処分できるとは限らず、廃棄費用や処理方法に悩まされることもあります。レンタルなら、契約期間が終了すれば返却するだけで済むため、廃棄のコストや手間もかかりません。短期運用の際には、安心して導入できる理想的な方法といえます。
よくある質問【FAQ】
- Qレンタルとリースの違いは?Aレンタルは基本的に短期で物を借りるサービスのことで、短くて数時間、長くて1ヵ月という期間で借りる場合が多いようです。リースは基本的に中長期で物を借りるサービスのことで、短くて半年、長くて約10年借りる場合もあるようです。
- QX線検査装置を導入するにあたり規制はありますか?A規制はないようですが、装置設置の30日前までに所轄の労働基準監督署へ所定の書類を提出する必要があるそうです。
- QX線検査装置は特別な管理が必要ですか?AX線作業主任者などの資格は必要ないようですが、装置の管理者を設けることが望ましいとされているようです。
- QX線検査装置はどのように処分するのですか?AX線発生器にはベリリウム金属を使用しているため、自治体及び法令を遵守し適切に産業廃棄物処理を行う必要があるそうです。
- QX線装置は購入してからどれぐらい使うと寿命が来るものですか?AX線の出力のさせ方(パワーや頻度など)によって寿命は大きく異なるため、一概に「○年が目安」とは言えないようです。
- QX線の安全教育とは何ですか?どのように行うのですか?AX線装置の透過写真の撮影業務に労働者を従事させるときは、次の科目について「特別の教育」を行う必要があるようです。①透過写真撮影の作業方法②X線装置の構造および取り扱い③X線の整体に与える影響に関して④関係法令

