X線検査装置は、X線を照射することで物体の内部を調べる装置のことを指します。しかし、自分たちのニーズに合った適切なX線検査装置を選ぶことはなかなか難しいです。そこで本記事では、X線検査装置の仕様を紹介すると同時に、X線検査装置を選ぶ際のポイントや実物を確認する方法をまとめて解説します。
X線検査装置の構成・仕様
X線発生装置は、
主にX線管・高電圧電源部・制御部・冷却器といった要素で構成される装置です。なかでもX線管はX線を生み出す心臓部分で、内部にはフィラメントやターゲットが備わった真空構造が採用されています。
また、
高電圧電源部は数kV以上の高電圧を印加し、X線の発生を支える重要なパートです。これらが一体となったX線発生部(ジェネレーター)として提供されるタイプもあります。装置を選定する際には、いくつかの技術的なポイントを確認しましょう。まず、管電圧はX線のエネルギーや透過力を左右し、撮影対象の大きさや素材によって最適な値が異なります。
次に、
管電流はX線の量を決定し、こちらも用途に応じた調整が求められるので注意しましょう。さらに、管電圧×管電流で決まる出力や医療・工業で必要とされる照射時間の考え方も重要です。画質に大きく影響する焦点サイズは、小さいほど鮮明な画像が得られる一方、ターゲットが高温になりやすいため、電流に制約が生じます。照射角や照射方向も、装置の配置や必要なX線量に関わるため、実際の設置環境を踏まえて判断されます。
加えて、
安全性の観点からX線漏洩の管理は欠かせません。鉛などの遮蔽材を用いて漏洩量が規定値以下になるよう設計されており、発生部でしっかり遮蔽されているほど装置全体の軽量化にもつながります。
X線検査装置選びのポイント
ここからは、X線検査装置選びのポイントについてみていきましょう。
材質・サイズ・スキャンの目的の検討
X線CT装置を適切に選ぶためには、対象となる製品の材質やサイズ、スキャンの目的などを総合的に検討する必要があります。まず最初に重要となるのは、
製品の材質と大きさです。X線は素材や厚みによって透過しにくくなるため、必要な最大出力がここで決まります。
また、
サンプルが装置に収まるかどうかも基本的なチェックポイントです。
スキャン目的を明確にする
次に、スキャン目的を明確にすることが重要です。X線CTの大きな利点は非破壊で内部情報を取得できる点ですが、
単なる観察目的か、精度の高い寸法測定まで必要なのかによって、選ぶべき装置の種類が変わります。寸法測定が必須であれば、計測用と明記されたCT装置を選択する方が安心です。
「ボクセルサイズ」「焦点サイズ」も要チェック
分解能を検討する際には「ボクセルサイズ」「焦点サイズ」が指標となります。
ボクセルサイズが小さいほど細部の再現性が高まり、焦点サイズが小さいほど鮮明な画像が得られるのです。ただし、高出力が必要な場合は焦点サイズが大きくなる傾向があり、分解能とのバランスを見極めなければいけません。
アーチファクト
さらに、金属や複合部品をスキャンする際に生じやすい「アーチファクト」も注意点です。アーチファクトは画質や測定精度に悪影響を与えるため、
候補となる装置で実際に自社サンプルを使ったトライアルを行うことが推奨されます。
精度保証値
寸法測定が重要であれば、
各装置メーカーが提示している精度保証値も比較対象になります。必要な計測精度を満たしているか確認することが大切です。
スループット
スループットも実務では無視できません。複数のスキャンを行う現場では、データ取得から解析までの時間が短いほど効率が上がります。しかし、
速度を優先しすぎるとデータ品質が低下する可能性もあるため、短時間かつ必要な品質を維持できる装置が理想です。
装置価格・メンテナンス性・サポート体制
装置価格・メンテナンス性・サポート体制も重要な決定要素です。X線CT装置は価格帯の幅が広く、ランニングコストも装置構成によって異なるため、
候補が絞れた段階でメーカーに確認するのが確実です。
設置環境
設置環境も事前に確認しておくべきポイントです。
装置の大きさや重量、設置スペース、床の耐荷重、室温管理など、導入後の運用に支障がないことを確かめる必要があります。
X線検査装置の実物を確認するには
X線検査装置の実機を確認する方法としては、大きく三つのアプローチがあります。
展示会
まず一つ目は展示会での実機確認です。
東京ビッグサイトや幕張メッセ、インテックス大阪といった大規模会場で開催される展示会のほか、年4回開催されているインターネプコンでは、多数の電子機器・半導体メーカーやX線検査装置メーカーが一堂に集まります。ここでは最新の装置を一度に比較できるだけでなく、技術相談や商談も行える点が魅力です。
デモ依頼
二つ目の方法は、メーカーへデモを依頼することです。国内には多くのX線検査装置メーカーがあり、
目的に合った企業にデモを依頼することで、実際の動作や操作感を詳しく確認できます。カタログや動画では分からない技術的な相談や運用面の質問ができ、自社の課題に対する提案を受けられることもメリットです。
工場見学
三つ目は、すでに装置を導入している工場を見学する方法です。
実際の運用現場を見ることで、導入後のイメージを具体的に掴めます。ただし、見学先を自力で探すのは手間がかかるため、導入を検討しているメーカーに依頼し、運用が近い工場を紹介してもらう方法が効率的です。
まとめ
X線検査装置は、内部構造を非破壊で取得できる強力な検査ツールですが、最適な装置選びには多角的な判断が必要です。本記事では、X線発生部の基本構造や管電圧・焦点サイズといった技術仕様をわかりやすく整理し、材質・サイズ・分解能・精度・スループットなど、導入時に必ず押さえておきたい選定ポイントを体系的に解説しました。さらに、展示会・メーカーのデモ・工場見学といった実機確認の具体的な方法も紹介しており、初めて装置選びに携わる方でも、比較・検討の流れが明確になる内容です。