
X線検査を実施することで、さまざまな病気・異常が見つけられるケースがあるため、病院や空港、工場などで広く利用されるメジャーな検査方法です。今回は、そんなX線検査装置の価格相場はどれくらいなのか、そして、導入する際の注意点などについてもくわしく解説するので、最後まで読んでいただけたら幸いです。
X線検査装置の価格相場とは
そもそもX線検査装置とはどのようなものなのでしょうか。どのような役割を果たしているのかを解説します。X線検査装置とは、検査対象物を形状や機能を損なわずに、リアルタイムで対象の内部の解析・検査を実施して、異物などを調べられる装置です。X線を被検査品に照射して得られる透過画像により、肉眼や可視光カメラではチェックできない内部を透視できるようになっているのです。こちらは、異物や破損の検出だけではなく、検査品の形状不良や数量不足などを検査できるため、あらゆるニーズに対応できるといえるでしょう。
人体だけではなく、生産現場でも活躍しており、導入することで、異物の有無や破損が高い精度でわかるため、徹底的な品質管理を実施したい際にも、おすすめといえるでしょう。
そんなX線検査装置の価格相場は、どうなっているのでしょうか。X線検査装置には、いくつかタイプが存在しており、そのタイプごとに価格が変わってくるというのも特徴です。下記では、そのタイプごとの価格相場を解説します。
簡易型
簡易型は卓上型とも呼ばれており、倍率は1〜2倍です。こちらは、倍率不要なサンプルに適しており、価格は300〜500万円ほどとなっています。汎用型
汎用型の廉価型は、倍率は20〜30倍となっており、BGAの観察はできますが、不良解析には、倍率不足であるという特徴があります。こちらの価格相場は、600〜800万円となっています。そして、通常の汎用型は倍率が500~1000倍となっており、高倍率でBGAのクラックが観察可能です。そして、価格相場は1,000〜2,000万円となっています。
高解像度型
高解像度型は、倍率が1,000倍以上となっており、高倍率でICのワイヤボンディング観察できます。そして、価格相場は、3,000〜5,000万円となっています。X線検査装置を使用するには資格が必要
じつは、X線検査装置を購入さえすれば、だれでもすぐに使えるというわけではありません。X線検査装置を使用するためには「X線作業主任者」という資格が必要です。こちらの資格を取得するためには、X線の管理知識・X線の測定知識・X線の生体に与える影響・関係法令という4つの試験内容を各項目40%以上の正答率かつ、すべての合計で60%以上の得点を取ることが合格の条件となっています。
資格や免許は一定期間が経過すれば更新する必要があるものが多いですが「X線作業主任者」は、更新する必要がありません。こちらの資格は、一度取得すれば永久に保持できます。
また、X線検査装置を使用する際には、電離放射線障害防止規則という関係法令があります。装置やガンマ線照射装置の使用者は特別教育を受けなくてはならない点も留意しておきましょう。
X線検査装置を導入する際の注意点
最後に、X線検査装置を導入する際の注意点をいくつか解説します。購入する際には、下記で解説する注意点のポイントを参考にしてみましょう。適したモデルであるか
上記で解説したとおり、X線検査装置にはさまざまなモデル・種類が存在しています。それぞれ用途に沿った使用方法があるため、それに適したモデルを選びましょう。単純に価格が上がるほど、ハイスペックになるというわけではなく、オーバースペックになるとうまく使いきれない場合があります。
X線検査装置は、とても高価な装置です。用途に合ったモデルが選べなかったからといって、すぐに買い替えられるものではありません。そのため、購入を検討する際には、自身がどのような目的や用途でX線検査装置を使用するのかを、よく考えることが重要といえるでしょう。
X線検査の活用分野
X線検査装置は、さまざまな分野で活用されています。まず、工業分野では、自動車部品の溶接部分や電子部品のはんだ付け状態の検査など、さまざまな用途の高密度実装の検査に利用されています。X線検査装置が発展することにより、工業製品の品質管理や安全確保、業務の効率化などが期待できるというのも、大きなポイントといえるでしょう。
そして、医療分野では、ペースメーカーや人工関節以外にも、人体に使用される器官の内部構造やカテーテルの検査にも使用されています。私たちが安全にそして健康に暮らしていくためには、いまやX線検査装置はなくてはならない存在となっているのです。